適切な労務管理で企業を守る!重要なチェックポイントを完全解説します。

従業員10人未満でも、労務管理が曖昧だと「未払い残業」「退職トラブル」「採用やり直し」で数十万〜数百万円が一気に消えます。本記事では、10人未満の会社が最低限押さえるべき労務チェックリストをまとめます。

労務管理は、企業運営の基盤を支える重要な要素です。適切な管理が行われていないと、法令違反や従業員の不満、さらには行政からの指導や罰則などのリスクに直結します。ここでは、労務管理の重要なチェックポイントを一つ一つ解説し、あなたの会社の現状を見直すお手伝いを私がします。

労務管理は非常に重要性が高い理由

起業した直後や人を増やしていくときに「労務管理」を結構、後回しにする経営者の方は非常に多いです。特に20-30代で起業した人ほど後回しになる傾向があります。

私も10年以上経営してきて思うのは、「労務管理」ほど大切なことはないですね。

せっかく採用してもすぐに離職してしまうと、業務を教えた工数が無駄になってしまいますし、会社が伸びていく中でいきなり大量離職に悩まされる経営者は多くいます。

個人的には、「大量離職は、一流の経営者は全員経験している」と勝手に思っているのですがどう考えても、マイナスなイベントではあるので未然に防ぎたいですよね。

都内でビジネスしている人なら痛感していると思うのですが、特に昨今はフリーランスが増えてきており、人材の流動性が高くなってきています。だから一度採用したらきちんと管理しないと経営面での打撃が大きいです。

確かに、法律的に言えば「従業員数が10人未満であれば就業規則は提出する義務はない」、しかしないと内部統制が取れず、採用の基準も決まらないですからね。

管理基準に満たない人材は採用しない

労務管理を定める=採用するべき従業員のペルソナを決める

ことだと、私は考えています。

採用するときに、きちんと会社のルールを伝えることで、それに納得しない人を非採用にするという基準があれば一定の人材の質を担保できるはずです。

優秀なんだけど、会社の中に入れたら絶対にダメな人って正直、存在するわけじゃないですか。だから経営者側が、管理基準を定めて採用するべき人材をイメージしておくことが大切。そうしないといきなり突然組織崩壊しますからね。

経営者層とバイト2-3人で回すビジネスだったらまだ良いかもしれませんが大きくするのであれば管理基準は決めておきましょう。

労務管理の基本チェックリスト

ここでは、スタッフ10人未満の会社でも最低限押さえておきたい「労務の基本項目」をまとめます。

就業規則(10人未満でも整備推奨)
就業規則は、従業員と企業双方のルールを明確にするための「企業のルールブック」です。
就業規則の作成・届出義務は原則「常時10人以上」の事業場が対象ですが、10人未満でもルールが曖昧だと賃金・勤怠・退職で揉めやすいので、社内の“ルールブック”として整備しておくのがおすすめです。
※常時10人以上に達した場合は、作成・届出が必要になるため注意してください。

就業規則に入れておくと揉めにくい項目
・勤務ルール(始業・終業、休憩、休日、シフト決定方法)
・連絡ルール(遅刻・早退・欠勤の連絡先/何時まで/手段)
・残業ルール(原則:事前申請・承認)
・勤怠修正ルール(修正の権限、履歴、締め日)
・賃金ルール(締め日・支払日、控除、割増計算の考え方)
・固定残業代を使う場合(対象時間/超過分の支払い)
・休暇(年次有給休暇の申請・管理、代休・振休の定義)
・服務規律(PC/スマホ、SNS、顧客情報の持ち出し禁止など)
・ハラスメント(相談窓口、相談を理由に不利益取扱いしない)
・懲戒(注意→指導→改善機会→懲戒 のプロセス)
小規模企業ほど事故りやすい追加チェック(運用ルール)
・年次有給休暇(年休管理簿/年5日取得の運用が必要なケースの確認)
・割増賃金(固定残業・端数処理・“管理職だから残業代なし”の誤認がないか)
・ハラスメント対応(相談窓口・方針周知・初動フローの整備)
・社会保険・労働保険(入退社・扶養・雇用保険の手続が遅れていないか)
・休憩・休日・変形労働時間制(運用しているのに書面やルールがない、が多い)

36協定の届け出
法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や、法定休日に労働させる場合は「36(サブロク)協定」の締結・届出が必要です。
未提出のまま時間外労働を行うと、法令違反に問われる可能性があります。

残業実績の確認(過労死ラインのチェック)
過剰な残業は健康被害のリスクを高めるだけでなく、企業としての管理責任を問われる大きな問題です。
一般に“過労死ライン”の目安としては、発症前1か月で「時間外・休日労働が100時間超」だけでなく、発症前2〜6か月の平均で「80時間超」といった水準もセットで語られます。
単月だけでなく「数か月平均」でもチェックするのが重要です。

法令違反の有無
直近1年以内に労働基準監督署から法令違反を指摘されていないか確認してください。指摘を受けている場合、速やかに改善策を講じることが必要です。

勤怠管理の適正化
勤務時間や残業時間の記録は、手書きやExcelでも不可能ではありませんが、ミス・改ざん疑義・手戻りが増えやすいです。
打刻(登録)システムを導入し、出勤簿や勤怠記録がすぐに出力できる状態で保管されているか確認してください。

10人未満の勤怠システムは「この3つ」で選ぶ
・スマホ打刻(できればGPSなど不正抑止)
・申請・承認(残業/有休/修正)
・締め処理が楽(集計・CSV出力・給与ソフト連携)

代表的なサービス例:KING OF TIME/ジョブカン勤怠管理/freee勤怠管理Plus/マネーフォワード クラウド勤怠 など
※給与ソフト(freee・マネフォ・弥生など)との連携可否で決めると失敗しにくいです。

労働時間の記録方法
労働時間の切り捨て(例:1日30分未満の労働時間を切り捨てるなど)といった法令に反する運用がないか、現状を確認しましょう。

賃金支払いの適正化
賃金は規定通りに正しく支払われていますか?滞納がないこと、支払いに関するトラブルが起きていないことを確認してください。
直近1年以内の賃金台帳が整備され、すぐに提出できる状態であるかも重要です。

労働条件通知書の管理
労働契約を結ぶ際の労働条件明示(通知書等)は、記録として保管されていますか?
有期契約の場合は、契約更新の際にも労働条件の明示が行われているか確認してください。

適切な労務管理がもたらすメリット

適切な労務管理を行うことで、企業にはさまざまなメリットがもたらされます。以下に具体的な利点をさらに詳しく解説します。

「揉めない」「辞めにくい」「会社の時間が増える」は会社を伸ばすために必須の考え方です。

労務管理は“守り”に見えて、実は一番コスパの良い“攻め”。

10人未満の会社だと、1回の労務トラブルで「未払い残業」「解決までの工数」で、数十万〜数百万円が一気に飛びます。

最も最悪なのは、「採用のやり直しで新規募集」を行なう羽目になること。最近は人材採用コストが跳ね上がり、100万円で採用できたら安いほう になりましたからね。

逆に、ルールと勤怠が整っているだけで
・揉めない(未払い・退職トラブルが減る)
・辞めにくい(不信感が減る)
・社長の時間が増える(確認・修正・火消しが減る)

という形で、利益に直結します。

1. “火消し工数”が減り、社長の時間が戻る

労務トラブルは、解決までに社長・管理者の時間を奪います。
例:毎月の勤怠締めで「確認・修正・差し戻し」が合計5時間あるなら、年間で60時間。
社長の時給を仮に1万円と置くと、見えないコストは年60万円相当です。
勤怠の申請承認ルール+システム化だけで、この時間が半分になる会社は多いです。

2. 未払い残業・割増賃金の“爆弾”を潰せる

小規模ほど事故りやすいのが「固定残業」「端数処理」「管理職扱い」の誤りです。
未払いが発生すると、(未払い額)×(人数)×(月数)で一気に膨らみます。
例:1人あたり月2万円の未払いが12か月続けば、24万円。5人なら120万円。
労務管理は、この“後からまとめて請求される構造”を止めるための仕組みです。

3. 採用のミスマッチが減り、採用コストの無駄が減る

10人未満の会社は、1人辞めるだけで現場が崩れます。
採用にかかるコストは「求人費+面接工数+教育工数+立ち上がりまでの機会損失」。
例えば、教育に30時間使うならそれだけで(時給)×30のコストが確定します。
就業規則・運用ルールを入社前に提示するだけで、合わない人を採らない確率が上がります。

4. 退職トラブル(最終給与・有休・引継ぎ)での損失を小さくできる

退職時に揉めると、最終給与や有休だけでなく「引継ぎ不足」による事故が出ます。
損失は「引継ぎにかかる追加時間」+「顧客対応の遅れ」+「社長の判断回数増加」。
退職ルール(申出期限・有休・返却物・アカウント停止)を決めるだけで、揉める確率が下がります。

5. 監督署対応が“短く・軽く”なる

是正勧告や調査が入った際に効くのは、「出せる帳票が揃っているか」です。
就業規則/36協定/勤怠記録/賃金台帳がすぐ出せると、追加対応が減りやすい。
結果として、対応のための工数(=社長と管理者の時間)を最小化できます。

6. 給与計算・手続きの手戻りが減り、間接コストが下がる

勤怠→給与→明細→年末調整→社保手続きは、どこかが曖昧だと毎月“手戻り”が起きます。
手戻りが月2時間でも、年間24時間。担当者の時給2,000円なら年48,000円。
小さく見えて、積み上がるのが労務のコストです。

7. “社員の不満”が減り、無駄な交渉コストが減る

不満は「賃金」「残業」「有休」「評価の不透明さ」から出やすいです。
1回の相談対応が30分でも、月10回なら5時間。年間60時間。
ルールが明確だと、この“説明・説得の時間”が減ります。

8. 会社が増員しても回る“仕組み”になる
人数が増えるほど、ルールがない会社は例外対応が増えて運用が崩れます。
逆に、勤怠・賃金・休暇・退職のルールが先に整っている会社は、増員しても管理負荷が増えにくい。
結果として「増やせる会社」になります。

退職トラブルを防止するために最低限決めておくべきこと

小規模ほど、退職時のルールが曖昧だと「最終給与」「有休消化」「引継ぎ」「会社物の返却」で揉めやすくなります。就業規則や運用ルールとして、最低限この4つを決めておくとトラブルが減ります。

・退職の申出期限(例:退職希望日の30日前までに書面または所定フォームで申出)
※申出期限は社内ルールとして定めるものです。急な退職が起きた場合の対応(引継ぎ、最終給与、有休、返却物)もセットで決めておくと揉めにくくなります。
・最終給与の計算と支払日(締め日をまたぐ場合の説明を事前に)
・有休消化の扱い(申請手順・業務都合での調整ルール)
・返却物・データ(PC/鍵/名刺/顧客データ、私物と会社物の切り分け、アカウント停止のタイミング)

必要な人材には会社に残ってもらいたいですし、もし飛び立つ時が来た時にもお互いが気持ちよく別れられる決め事はしておいた方がいいですね。

よくある質問(FAQ)

以下に、労務管理の改善に関して寄せられるよくある質問をまとめました。

  • Q

    労務管理を改善するには何から始めるべきですか?

    A

    まずは、現在の労務管理体制を見直し、以下の基本項目を確認してください:

    • 就業規則の整備(10人未満でも社内ルールとして整備推奨。常時10人以上なら作成・届出が必要)
    • 36協定の提出状況
    • 勤怠管理方法(勤怠システムの導入を推奨)
    • 賃金支払いの正確性

    これらを基盤に改善を進めることが効果的です。

  • Q

    36協定の提出を忘れていた場合、どうすればよいですか?

    A

    未提出のまま時間外労働を行うと、法令違反になる可能性があります。速やかに労働基準監督署へ届け出を行いましょう。その際、正しい記載方法がわからない場合は、専門家や社労士に相談することをお勧めします。

  • Q

    勤怠管理は手書きやExcelでも問題ないですか?

    A

    手書きやExcelでの管理は法令違反ではありませんが、記録ミスや改ざんリスクが高く、適切な管理が困難になる場合があります。勤怠管理システムを導入することで、正確性や効率性が向上し、労務管理の手間を大幅に削減できます。

  • Q

    法令違反を指摘された場合、どう対応すればいいですか?

    A

    まず、指摘内容をしっかりと確認し、速やかに改善策を講じることが重要です。また、再発防止のため、就業規則や労働条件の見直し、専門家によるアドバイスを受けることをお勧めします。

  • Q

    労務管理が適切でないとどんなリスクがありますか?

    A

    適切な労務管理が行われていない場合、以下のようなリスクが生じます:

    • 法令違反による行政指導や罰則
    • 従業員の不満や信頼喪失
    • 労使トラブルや訴訟の発生
    • 社会的信用の低下

    これらを未然に防ぐためにも、定期的な見直しが重要です。